美濃焼窯元 外装タイル製造工場見学

9月7日早朝より新幹線で名古屋駅から中央本線で約1時間、瑞浪から多治見にかけて点在する美濃焼の窯元のうち4カ所の外装タイル製造工場を見学する機会を得ました。
4カ所とも弊社でお世話になっている工場ですが、それぞれの特徴に応じて異なった種類のタイルを生産していました。

株式会社丸新
無釉・湿式成形・セッ器質・還元焼成工場
主に二丁掛などレンガ風のタイルを生産し、その製品は商業施設や大規模個人住宅など、比較的高額物件に使用されることが多いようです。この工場は特別注文のみの受注で稼働し、セッ器質のタイル生産では国内トップの技術を有します。
以下製造工程です。
美濃で採取され分別された土や石が顔料などとともに一定の割合で調合され、ミキサーで混練されます。さらに土練機でこねられた上で押出成形機でタイル状に成形され乾燥炉で3~5日かけて乾燥させます。その後トンネル窯で台車でゆっくり移動しながら20~40時間かけて酸化・還元・酸化と繰り返し焼成します。その後検査を経て、濃淡のバランスよく混成・箱詰めされ出荷されます。
これらの行程は、通常依頼を受けてからサンプル焼きまで順調にいって約1ヶ月、本焼出荷まで約3ヶ月かかるようです。

ジェイエスアート
セミオーダータイルのもっとも中核となる工程を担う工場
「イングレイズ釉」という専用釉薬を用いて、色やデザインを施したタイルです。
一枚一枚手作業で作成するためコストが高くなりますが少量であれば工期の厳しい場合には助かります。

杉浦製陶株式会社
45二丁に代表される施釉・乾式成形・磁器質のタイルと床に使用されることの多い無釉・乾式成形・磁器質のタイルのどちらも製造しています。修繕工事用のタイルの生産を積極的に行っています。

株式会社オザワモザイクワークス
45二丁タイルを施釉・無釉どちらも製造できる希有な工場です。「モザイクタイル」を製造しています。修繕工事用のタイルの生産を積極的に行っています。

<タイルの特徴による分類>
①成型方法による分類
湿式成形と乾式成形に分けられます。湿式成形は原料を水分を含んだ練り土状にして押し出し成形する方法で、乾式成形は粉末にした原料を高圧プレスで成形する方法です。
②発色方法による分類
施釉タイルと無釉タイルに分けられます。施釉タイルは釉薬をタイルの表面に施します。タイルの発色は釉薬の部分だけですので、少量の顔料で製品化できます。無釉タイルは顔料を素材の中に直接混入しますのでタイル全体が発色します。多くの顔料必要としますが、施釉タイルと比較して深い色合いを表現することが出来ます。
③吸水率による分類
磁器質(Ⅰ類3.0%以下)、セッ器質(Ⅱ類10.0%以下)、陶器質(Ⅲ類50.0%以下)に分けられます。

最後に
どちらの工場も土地の香り、人の手作業の暖かみがタイルの一枚一枚に伝わっている感じがして大変感動しました。また勉強させて頂きました。丸一日かけてご案内頂きました株式会社東明の黒田社長にも感謝致します。